税理士事務所業務の1つ目の柱、会計支援と月次監査です。
(1)顧問先の会計支援業務には、大まかに言って記帳代行と自計化会計支援です。
①記帳代行と自計化会計支援
[記帳代行]とは、顧問先の会計書類等を税理士事務所で会計ソフトに入力して月次決算をまとめる作業です。
[自計化]とは、顧問先自らで会計ソフトに入力することです。その入力データを税理士事務所で点検等して月次決算にまとめます。
《会計事務所での記帳・決算書作成の歴史(概要)》
[1.会計ソフトがまだない時代]
伝票を手書きで記入して、帳簿に記帳・転記。手作業で月次決算書作成。
[2.PC、会計ソフトが一般化してきた時代]
帳簿作成のために会計ソフトへ入力して月次決算書作成。
[3.IT技術がすすみ銀行やクレジットカード等データが電子化される]
帳簿入力のうち、銀行やクレジットの電子データを自動取込して会計ソフトで月次決算書作成。
[4.OCR技術とスキャナ機能が進んだ現在]
(電子データ化していない)通帳、現金出納帳等資料はOCR機能付スキャナでデータ化して会計ソフトで月次決算書作成。※「OCR」は光学式文字読取機能のことで、スキャナで紙資料の文字を読み取って、その文字を電子データにして入力に活かしたり、他のデータに活かしたりできます。
ーーーーー会計処理の初期段階では紙ベースの時代は正確に数字を記入して転記することが必要でした。
会計ソフト主流時代になると正確に数字を入力することが職員に求められてきました。
銀行データ連動等やOCR&スキャナの時代にはいってくると、PCやソフトを柔軟に扱える力や、データ処理後の数字の間違い・不具合等を素早く的確に見つけて処理するスキルが求められてくると思われます。
・当事務所では、マニュアル等独自ノウハウで自計化支援を行っています。このため自計化顧問先が約7割となっています。自計化すると顧問先ではタイムリーの経営状態が見えてきます。また会計処理の内容の理解が進みます。
自計化の割合は事務所により色々です。中にはいまだに税理士事務所で伝票を書いて会計ソフトへ入力するという事務所もあるようです。
・現在の当事務所での記帳業務は、2から3、4への移行途上という段階です。
現在はIBやクレジットカードデータと会計ソフト連動、新たな「記帳代行」サービスに力を入れています。
②月次監査業務
月次監査というのは「月次決算のあと顧問先を訪問等して決算報告をするとともに、月次決算の分析や今後の見込みや戦略等を話し合うこと」を言います。この時に税金・経営の相談、相続税対策のご提案等を行ったりします。
顧問先の希望に応じてMAS監査(マネージメント・アドバイス・サービス。別途料金が必要です)も行います。
※月次監査の形態は「毎月訪問のほか、顧問契約内容により3月毎・6月毎等でまとめて月次決算を行う場合や、年に一度の決算・申告だけ」があります。
※当事務所では「年に一度の決算・申告だけ」は基本的に行っていません。
【会社の再建・経営改善】
当事務所では、会社の事業再建や経営改善にも力を入れてきました。
約十社に係わりました。2社は銀行借入が厳しいほどでした。ずいぶんと手間と時間がかかりました。けれども債務超過を脱して経営状態が良くなりました。ちょうど経営者交代時期にさしかかった所で、大きな会社に買い取ってもらえました。良い事業承継ができました。
また経営改善できなかった会社も2社あります。
改善できなかった両社に共通するのは
「経営陣や金融機関を交えた会議などで経営方針を決めるのだけれど、経営者はこれに従わず、旧来の手法で経営を続ける」ところでした。自分を変えられないんですね。
社長と会社幹部そして私が加わって、経営理念から練り直して、経営再建計画や実行計画を作った。にもかかわらず過去成功体験にとらわれて、元の手法に戻ってしまいた。顧問先ではありませんでしたが、1社は倒産してしまいました。
社長が、自ら加わった決定の通りに従ってくれていたら、また違った生き残り方があったのかもしれません。
会社経営を改善できるかどうかは社長の意志と姿勢次第です。
会社経営には社長の強い統率力とともに
他者の意見を聞く柔軟性・素直さ、時流を読んだり努力が必要です。